がんのトランスレーショナルリサーチに取り組む元外科医。補完代替医療の科学的検証にも奮闘中。癌患者のために、日々、臨床に研究に勤しんでおります。
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知性について
2010年07月14日 (水) | 編集 |
人間の知性が曇りやすいことについて、
英国の哲学者ベーコンのお話を目にしました。

+++++(以下、引用)+++++
航海安全にご利益あらたかなお寺があった。
そのお寺の壁には、航海を終えた人の寄進した
額がズラリと並んでいた。

「どうです、あなたもお祈りになったら」
と町の人に言われて、ある船乗りが
「でも難破して帰らなかった人の額はないわけですね」
と答えたそうである。
この船乗りの判断こそ曇りない知性を示すものだ。
+++++(引用ここまで)+++++

人間は、ある結果について、その原因を
神秘的あるいは超越的なものに結びつけ、
信じたい本性をもっているのかもしれません。

代替医療において、皆さんが目にしたり耳にしたり
する情報は、成功体験がほとんどだと思います。
その裏に隠れている失敗体験を目にすることはありません。

がんという病気にかかったとき、成功体験がちりばめられた
代替医療に対して、傾倒・盲信してしまう人がいるのも、
このような人間の本性・深層心理が影響している
ことも考えられます。

ですが、自分で情報を吟味し取捨選択することなく、
親鳥からエサを与えられる小鳥のごとく、
「受動的」に情報を受け入れる思考はいけません。

・ものごとを鵜呑みにしていないか?

・単純に考え過ぎていないか?

・偏ったものの見方をしていないか?

このような、ものごとを疑う目を
普段から養っていく必要があるのだと思います。

ただ、誤解のないように補足させて頂きますと、
これは、人を疑ったり、批判したり、信用するな
ということではありません。

「疑う」というのは、「疑問を持つ」という
意味でとらえてください。
ポイントは、「人を疑う前に自分の思考を疑う」
ということになります。

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情報の信頼性:ランダム化比較試験
2010年04月06日 (火) | 編集 |
4月から新しい職場に移ったこともあり
仕事に追われブログの更新が遅れています。
申し訳ありません。

さて、今回は、情報の信頼性の最終回
「ランダム化比較試験」について
解説していきます。

「情報の信頼性」に関する過去のブログは
以下をクリックして読み直してみてください。

++++(過去の関連記事)+++++
情報の信頼性:総論
情報の信頼性:経験談・権威者の意見(1)
情報の信頼性:経験談・権威者の意見(2)
情報の信頼性:経験談・権威者の意見(3)
情報の信頼性:実験室の研究(1)
情報の信頼性:実験室の研究(2)
情報の信頼性:ケースシリーズ・症例報告
情報の信頼性:患者・対照研究
情報の信頼性:コホート研究
情報の信頼性:ランダム化比較しない試験
++++++++++++++++++

繰り返しになりますが
情報の信頼性が高い順に、

1.ランダム化比較試験
2.ランダム化比較しない試験
3.コホート研究
4.患者・対照研究
5.ケースシリーズ・症例報告
6.実験室の研究
7.経験談・権威者の意見

となります。

通常、皆さんが病院に行って処方される薬は
このランダム化比較試験を行って
有効性が証明されたものになります。

ある新しい治療法が、従来の治療法と比べて
有効であるかどうか確かめるために
ランダム化比較試験を行ったときの
イメージ図は以下のようになります。

ランダム化比較試験治療

この方法は最も厳密な方法になります。
「厳密」とは、客観的・中立的という意味で
人の作為や恣意はもちろんのこと
偶然性や偏りをできる限り排除した
状態のことを指しています。

ただし、この研究を行うためには
・多くの患者さんの協力が必要
 (通常、数百人から数千人)
・必ずしも参加者にメリットがあるとはかぎらない
・研究結果が出るまでに時間がかかる
 (通常数年)
・研究費がかかります
 (医薬品開発の場合、数億円から数十億円)
といった欠点もあります。

ちなみに、がん予防を目的とした場合
例えば、食物線維が大腸癌予防に
有効かどうかを確かめるために
ランダム化比較試験を行ったときの
イメージ図は以下のようになります。

ランダム化比較試験予防

ただ、この場合も、最も厳密で正確な
研究方法になるのですが、

・多くの患者さんの協力が必要
 (通常、数万人以上)
・生活習慣を強制することを無理強い
 することはできないので、
 例えば、「タバコを吸うと肺癌になる」
 ということを証明するような
 がんのリスクを検証する
 ランダム化比較試験はできません
・研究結果が出るまでに時間と研究費がかかる

という欠点もあります。

ですが、このランダム化比較試験という方法、
治療目的であっても予防目的であっても
補完代替医療の有効性を検証するうえで
どこが一番優れているかというと
「その補完代替医療が
 どのようなメカニズムで
 効果を発揮するのか
 よく分からなくても、
 臨床試験の結果から、
 有効なのか無効なのかを
 判断することができる」

という点があります。

ですから、補完代替医療を利用するかどうかの
判断基準のひとつとして
ランダム化比較試験で有効性が
証明されているのかどうか

この1点だけに絞って情報を
吟味していけば良いということになります。

そして、がん治療を目的とした場合
「西洋医学に取って代わるような治療効果を
 ランダム化比較試験で証明された
 補完代替医療はない」

という現実があります。

ただ、誤解しないで欲しいのですが
私自身、「補完代替医療は効果がない」
と言っているわけではありません。

「補完代替医療の有効性を検証するための
 ランダム化比較試験は、現時点では
 まだ、ほとんど行われていない」

ということを言いたいだけです。
つまり、

「がんに対する直接的な治療目的として
 補完代替医療は効くのか効かないのか
 現時点では分からない」

というのが私の言いたいことの主旨になります。

その一方で、

「西洋医学をサポートするような
 補助的な治療法としての
 補完代替医療については
 ランダム化比較試験によって
 その有効性が証明されているものも
 ある」

ということは是非知っておいてください。
具体的には、このブログで紹介した
がんの統合腫瘍学会ガイドライン
を参照にしてみてください。

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情報の信頼性:ランダム化比較しない試験
2010年04月04日 (日) | 編集 |
今回は、ランダム化比較しない試験について説明します。

「情報の信頼性」に関する過去のブログは
以下をクリックして読み直してみてください。

++++(過去の関連記事)+++++
情報の信頼性:総論
情報の信頼性:経験談・権威者の意見(1)
情報の信頼性:経験談・権威者の意見(2)
情報の信頼性:経験談・権威者の意見(3)
情報の信頼性:実験室の研究(1)
情報の信頼性:実験室の研究(2)
情報の信頼性:ケースシリーズ・症例報告
情報の信頼性:患者・対照研究
情報の信頼性:コホート研究
++++++++++++++++++

繰り返しになりますが
情報の信頼性が高い順に、

1.ランダム化比較試験
2.ランダム化比較しない試験
3.コホート研究
4.患者・対照研究
5.ケースシリーズ・症例報告
6.実験室の研究
7.経験談・権威者の意見

となります。

まずは、これまで説明してきた
研究方法の問題点を整理します。

「経験談・権威者の意見」
まだ研究と呼べる前の段階の
口コミレベルの情報になります。

「実験室の研究」
細胞や動物の実験のことで
その研究成果がそのままヒトに
当てはまるわけではありません。
ただ、研究成果は比較的短時間で
得ることができることや、
クスリの効果発現メカニズムを
解明するのには役立ちます。

「ケースシリーズ・症例報告」
最大の問題点は、これらの結果からは、
何人のヒトがその治療を受け、
何人のヒトに効果が得られたのか
いわゆる奏効率は分かりません。
ただ、これらの研究から新しい治療法が
発見する可能性も秘めています。

「患者・対照研究」
病気にかかったヒトと
病気にかかっていないヒトで
過去の生活様式などに違いがないかを
調べていく方法です。
ただ、過去の記憶を頼りにするので
情報に誤りが入り込む可能性があります。

「コホート研究」では
患者・対照研究で問題となった
「過去の記憶を頼りにする」という点を
解決するために、ある集団全員を対象に
アンケート等を実施して「本人の記憶」
だけではなく、「書類による記録」も
とっておき、情報の誤りを少なくする方法です。
ですが、調査対象となるヒトは誰か(例えば医師)から
指示されて、ある予防法や治療法を行ったわけではなく、
自主的にそれを行っていることになりますので
そういうヒトは、
「もともと健康意識が高く、ある予防法を
 やっていてもやっていなくても
 病気にならなかったのではないか?」
というような疑いが入り込む余地があります。

そこで、『臨床試験』という形で、
ある治療法を医師の管理と参加者の協力のもとで実施して、
その効果について調査する研究方法が考え出されました。

イメージ図としては、以下のようになります。

ランダム化比較しない試験

ただ、ここでも問題点が残されています。
ある病気を抱えた人達を、例えば二種類の治療法に
それぞれグループ分けするときに、どの人を
どちらのグループに振り分けるか、
ここで、色々な思惑などが働いてしまっては
研究の結果に偏りが出てきてしまいます。

例えば、ある抗癌剤を長年研究開発してきた先生が
その薬の効果を調べるために臨床試験を行った場合に、
自分自身が研究開発してきた薬の方が、
少しでも効果が上がるようにと思うのは、
人間の心情として、このブログの読者の皆さんも
分かって頂けるかと思います。

ただ、このような研究者の思い入れが
裏を返すと、研究結果へ影響を与えかねません。
うがった見方をすれば、そのグループ分けを行うときに、
自分の研究開発を行った薬の効果が少しでも高くなるように
恣意的にグループ分けをしてしまう可能性も出てきます。

ですから、グループ分けを、いかに客観的・中立的に
行うことができるかが重要になります。

グループ分けの一番よい方法としては
ランダム(random)化
というものがあります。

ちなみにランダムとは、
「でたらめ(乱雑)である事、
 何ら法則性(規則性)がない事、
 人為的、作為的でない事を
 指す。
 また、通常、サイコロの目などのように、
 各出現項目の出現確率が均等もしくは
 ほぼ均等である状態を意味する。」

とあります
(出典:Wikipedia)

イメージ図としては、こんな感じです。

ランダム化

要するに、ある集団を二つのグループにわけるとき
どちらかのグループが、
男性が極端に多い...
高齢者が極端に多い...
合併症を持っている人が極端に多い...
癌の進行が進んでいる人が極端に多い...
など、研究の結果に影響を与える因子について
偏りがでるようなことがないようにする方法です。

次回は、このランダム化を用いた
臨床研究について説明します。

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