がんのトランスレーショナルリサーチに取り組む元外科医。補完代替医療の科学的検証にも奮闘中。癌患者のために、日々、臨床に研究に勤しんでおります。
  • 09«
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
  • 16
  • 17
  • 18
  • 19
  • 20
  • 21
  • 22
  • 23
  • 24
  • 25
  • 26
  • 27
  • 28
  • 29
  • 30
  • 31
  • »11
スポンサーサイト
--年--月--日 (--) | 編集 |
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


がんの補完代替医療:情報提供資料
2012年02月27日 (月) | 編集 |
ご無沙汰しております。

厚生労働省がん研究開発費
がんの代替医療の科学的検証に関する研究」班にて
今年度、患者さん向けと医療者向けに
補完代替医療に関する資料を作成しました。

【患者さん向け】
がんの補完代替医療ガイドブック(第3版)

がんの補完代替医療ガイドブック


【医療者向け】
がんの補完代替医療診療手引き

がんの補完代替医療診療手引き

冊子に関するお問い合わせは、
satoshi.ohno55@gmail.com
まで、お願い致します。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
ここまで読んで下さりありがとうございます!
がんの補完代替医療に関する正確な情報を
一人でも多くの患者さんやその家族の皆さんの
目に触れて欲しいと思い、頑張っています。
ポチっとクリックのご協力をお願いします。
 ↓ ↓ ↓     ↓ ↓ ↓ 
  にほんブログ村 病気ブログ 医療情報へ
にほんブログ村
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
スポンサーサイト

統合腫瘍学会ガイドライン2009(栄養補助食品:2)
2010年03月14日 (日) | 編集 |
今回は、統合腫瘍学会ガイドラインの解説、最終回!

Diet and Nutritional Supplementsの後半部分
「栄養補助食品(Nutritional Supplements)」
の5項目の残り2つについて解説します。
前半の3つはこちら

【第2版(2009)】
Recommendation 19: For cancer patients who wish to use
nutritional supplements, including botanicals for purported
antitumor effects, it is recommended that they consult a
trained professional. During the consultation, the professional
should provide support, discuss realistic expectations,
and explore potential benefits and risks. It is recommended
that use of those agents occur only in the context of clinical
trials, recognized nutritional guidelines, clinical evaluation
of the risk/benefit ratio based on available evidence, and close
monitoring of adverse effects.
(抗癌効果があるといわれている植物性素材も含めて
 栄養補助食品を利用したいと考えている癌患者さんにとって
 訓練を受けた専門家に助言を求め相談することは
 推奨される。相談の際、専門家はサポートを行い、現実的な
 予測について議論し、可能性のある効果とリスクについて
 調査しなければならない。それら栄養補助食品の利用は、
 入手可能なエビデンスに基づいた効果対リスク比が臨床的に
 評価され、副作用についても緊密にモニタリングされた
 臨床試験という状況においてのみ実施されることが
 推奨される。)

ここで覚えておいて欲しいのは、次の二つです。

健康食品・サプリメントは、身体の中で薬と同じような働きをする可能性がある。
健康食品・サプリメントは、身体の中で他の薬の働きに影響を及ぼす可能性がある。

要するに、「天然物質、食品・食物だからといって、それは
安全であることを意味しているわけではない
」ということを
是非とも知っておいて欲しいと思います。

ガイドラインの中では、以下のような具体例が挙げられていました。

・フィーバーヒュー(夏白菊)、ニンニク、ショウガ、イチョウ葉は
 抗凝固作用=血が固まりにくくなる作用を持っているので、
 ワーファリン、ヘパリン、アスピリン、その他関連する医薬品を
 内服している患者は利用を避けるべきである。

・レッドクローバー(アカツメクサ)、ドンクワイ(当帰)、リコライス(甘草)は、
 植物性エストロゲン(=女性ホルモン)成分を含んでいるので、
 タモキシフェン(エストロゲンの働きをブロックする薬)や
 アロマターゼ阻害剤(エストロゲンの合成を阻害する薬)を
 内服している患者は利用を避けるべきである。

・セントジョンズワート(セイヨウオトギリソウ)は、
 肝臓の代謝酵素を誘導し、医薬品の代謝に影響を与えるため
 抗癌剤投与中は避けるべきである。
 特にイリノテカンと併用すると、有効成分の血中濃度が
 約半分になってしまうという報告もある。
(※セントジョンズワートは、軽度から中程度の鬱に対して
  三環系抗うつ剤や選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)と
  同等の効果があったというこをと明らかにした臨床試験の報告が
  あります)

繰り返しになりますが、健康食品・サプリメントにも
副作用やその他の医薬品との相互作用の可能性があるということ、
この事実を決して忘れないでください。


【第2版(2009)】
Recommendation 20: As with nutritional supplementation
during treatment, survivors should be evaluated for supplement
use and referred to a trained professional for evaluation
to meet specifi c nutritional needs and to correct nutritional
defi cits as indicated. For older cancer survivors, nutritional
supplementation may reduce nutrient inadequacies, although
survivors who use supplements are usually the least likely to
need them.
(治療中の栄養強化も同様に、癌生存者=キャンサーサバイバーは
 サプリメントの利用実態について評価されるべきであり、
 適応があれば具体的な栄養補充を行うため、または、栄養不足を
 是正するための評価を行うために訓練された専門家に紹介される
 べきである。高齢の癌生存者の場合は、栄養強化は栄養不足を
 減らす事ができるかもしれない。しかし,既にサプリメントを
 利用しているような患者の場合、サプリメントが必要となりそうな
 ケースは通常ごくわずかしかない。)

癌患者さんは、治療や癌の進行に関連した症状のために
食事で摂れる栄養摂取量が減ってしまうことがあります。
そのような場合は、栄養摂取基準値を満たすように
ビタミンやミネラルをサプリメントとして摂取することは
有益であると推定されています。

その他、高齢者の場合、骨粗しょう症などがあれば
カルシウムやビタミンDのサプリメントを摂取することも
有益であると推定されています。

ただ、利用する前には、

訓練された専門家に相談してから

ということになっています。

では、この「訓練された専門家」とは、誰なのか?

米国では、多くの医学部で、サプリメントをはじめとした
補完代替医療がカリキュラムに組み込まれ講義が行われています。
また、Naturopathic Physician(自然療法医)といった
職種の人たちも数多く存在しています。
(米国自然療法医連盟:http://www.naturopathic.org/

しかし、残念ながら、日本の医学部では、
健康食品・サプリメントなどの補完代替医療の講義は
行われていないどころか、栄養学についても講義は
ほとんど行われていません。
(ですから、私自身も、栄養学は学生時代に
 ほとんど教わっていません...)
他の医療系の学部についても、ほぼ同様な状況だと思います。

ですが、最近、日本でも、この健康食品・サプリメントについて
自主的に勉強を行い、患者さんの相談にのることができるよう
努力されている人たちがおられます。
ここからは、私の個人的な経験に基づいた話になりますが、
過去に私が、研修会やセミナーに講師としてお招き頂いた
団体・組織について、以下にご紹介致します。

NR(栄養情報担当者)

健康食品管理士

メディカル・サプリメント・アドバイザー

その他にも、同様の資格について認定を行っている団体が
あるかと思いますが、上記3つも含め、いずれにおいても
民間資格であり国家資格ではありません。

今後、このような資格制度が、国家資格となっていくためには
一定の基準やルールが求められてきます。
現在、厚生労働省では、これら健康食品などに関連する
アドバイザリースタッフについてのガイドライン
策定しています。
今後の動きが注目されるところだと思います。

これまで、12回にわたり、2009年に発表された
統合腫瘍学会ガイドラインの解説を行ってきました。

30頁を超える英文論文を読み進めてこれたのも
ブログを読んでくださっている皆様の応援があったからと
痛切に感じております。

この場を借りて、お礼申し上げます m(__)m

ご意見、ご感想などが、ございましたら
コメント欄に書き込んで頂けると幸いです。
(ただ、患者さん個人の個別の質問には
 お答えすることはできませんが...)

今後とも宜しくお願い致します!!!

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
ここまで読んで下さりありがとうございます!
がんの補完代替医療に関する正確な情報を
一人でも多くの患者さんやその家族の皆さんの
目に触れて欲しいと思い、頑張っています。
ポチっとクリックのご協力をお願いします。
 ↓ ↓ ↓     ↓ ↓ ↓ 
 人気ブログランキングへ
 ↓ ↓ ↓   
にほんブログ村 病気ブログ 医療情報へ
にほんブログ村
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★


統合腫瘍学会ガイドライン2009(栄養補助食品:1)
2010年03月13日 (土) | 編集 |
本日のお題は、7つ目のカテゴリー
Diet and Nutritional Supplementsの後半部分
「栄養補助食品(Nutritional Supplements)」です。

5つの項目があり、論文の誌面も多く割かれています。
ですので、今回は、前半の3つについて解説します。

【第2版(2009)】
Recommendation 16: Based on a current review of the literature,
specific dietary supplements are not recommended for
cancer prevention.
(学術論文の最新レビューに基づくと、栄養補助食品は、がん予防の
 ためには推奨できない。)

これは、ある特定の成分だけが含まれた栄養補助食品や
サプリメントを摂取しても、がんを予防できるかどうか
現時点では証明されておらず、推奨できるだけの根拠が
ないということを意味しています。
さらに、ある特定の成分を大量に摂取することで、
逆に、がんやがん以外の他の病気の発症が増えてしまった
という本末転倒な臨床試験の結果も近年報告されています。

前々回のブログに書いたように、バランスの取れた食生活が
重要になります。

【第2版(2009)】
Recommendation 17: Evaluation of patients’ use of dietary
supplements prior to the start of cancer treatment is recommended.
Also recommended are referral of cancer patients
to trained professionals for guidelines on diets, nutritional
supplementation, promotion of optimum nutritional status,
management of tumor- and treatment-related symptoms,
satisfaction of increased nutritional needs, and correction
of any nutritional deficits while on active treatment.
(がんの治療を開始する前に栄養補助食品の利用実態について
 患者に確認することは推奨できる。また、治療中における
 食事や栄養補助食品に関する指針や方向づけ、最適な栄養状態
 の推進、がんや治療に関連する症状の管理、増加する必要栄養量
 の充足、栄養不足の是正に関して、患者を訓練された専門家に
 紹介することは推奨できる。)

解説を追加します。
がん患者さんの30~87%は、栄養失調であるといわれています。
理論的には、足りない栄養素を栄養補助食品で補ってあげれば
良いかと思うかもしれませんが、がん患者の栄養不良のメカニズムは
複雑で、栄養補助食品の使用方法や安全性について
まだ明らかになっていません。
ですので、ガイドラインでは、栄養補助食品の利用実態を
把握することは重要であるとしているものの
利用そのものを推奨はしていません。
ですが、管理栄養士など栄養学の専門家から、
食事指導を含めた栄養管理をしてもらうことは
推奨されています。

【第2版(2009)】
Recommendation 18: It is recommended that dietary supplements,
including botanicals and megadoses of vitamins and
minerals, be evaluated for possible side effects and potential
interaction with other drugs. Those that are likely to interact
adversely with other drugs, including chemotherapeutic
agents, should not be used concurrently with immunotherapy,
chemotherapy, or radiation or prior to surgery.
(植物由来の製品や大量のビタミン・ミネラルを含む栄養補助食品
 について、副作用の危険性や他の医薬品との相互作用の可能性を
 調べることは推奨できる。抗癌剤を含む医薬品に対して不利に
 相互作用する可能性が高い場合は、免疫療法、化学療法、
 放射線療法と併用はすべきではなく、また手術前にも使用
 すべきではない。)

論文では、抗酸化サプリメント、プロバイオティクス、
葉酸、エイコサペンタエン酸(EPA)について解説されています。

<抗酸化サプリメント>
抗癌剤の一部は、体内で活性酸素を発生させて
その活性酸素で癌細胞を殺傷して効果を発揮する
ものがあります。
この場合、抗酸化サプリメントを摂取したらどうなるでしょうか?
現在、二つの考え方があります。
1.抗酸化サプリメントが活性酸素を除去してしまうことで
  抗癌剤の効果が弱まってしまうという考え方
2.抗癌剤の副作用を引き起こす活性酸素を除去することで
  副作用が軽減し、抗癌剤を途中で中断したり、量を減らしたり
  することなく予定通り実施することができるという考え方
現在までに、システマティックレビューが2つと
メタアナリシスが1つ論文として報告されています。
しかし、まだ、はっきりとした結論は出ていません。
抗酸化サプリメントは、抗癌剤の毒性(=副作用)を減らす
可能性を秘めてはいるものの、更なる検証が必要といった
段階だと思われます。

<プロバイオティクス(乳酸菌など)>
下痢などの症状を伴う放射線療法による急性腸炎は、
骨盤部への放射線照射を行なった場合、70%以上の人に
発症するといわれています。
このような腸炎を発症した場合、プロバイオティクスの
有効性が確認された臨床試験の報告がいくつかあります。
また、抗癌剤による下痢などの症状緩和にも有効性を
示唆する報告もあります。
しかし、乳酸菌にも種類がたくさんあります。
また、乳酸菌と患者さんの腸内環境との相性もあるようです。
今後は、どの菌が一番効果を発揮するのか見極めるための
臨床試験が必要だと思われます。

<葉酸>
葉酸は、正常な身体の中で、活発に細胞分裂を行なっている
細胞や組織にとって重要な水溶性ビタミンです。
しかし、癌細胞も細胞分裂が活発で葉酸を利用します。
メトトレキセート(methotrexate)という薬剤は、
葉酸の代謝を阻害して、癌細胞の細胞分裂を防ぎます。
この場合、葉酸のサプリメントを摂取しても
大丈夫なのでしょうか?
これまで行われた研究では、葉酸のサプリメントは
メトトレキセートの治療効果を減弱することなく
副作用を減らす働きがあることが報告されています。
メトトレキセートで治療を受けている患者さんは
葉酸サプリメントの摂取についてアドバイスを
受けることが重要であると論文では述べています。

<エイコサペンタエン酸(EPA)>
EPAは、ω-3脂肪酸の1種になります。
EPAは、悪液質というがん患者さん特有の栄養失調による
衰弱状態を改善することが報告されています。
動物実験でも、EPAは、身体の中で炎症を抑えることによって、
悪液質の時におこる体内のたんぱく質の分解を抑制していることが
報告されています。

今回、この論文を読んでいて、海外でもサプリメントへの関心は、
非常に高いということが感じられました。
ですが、日本と違うところは、米国を中心として海外では
サプリメントの有効性と安全性を証明するために
一つ一つ臨床試験を行なって科学的に検証していく取り組みが
きちんと行われていることがあります。
今後、日本も見習っていかなければならない点だと思います。

残りの2つは、明日以降にupします。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
ここまで読んで下さりありがとうございます!
がんの補完代替医療に関する正確な情報を
一人でも多くの患者さんやその家族の皆さんの
目に触れて欲しいと思い、頑張っています。
ポチっとクリックのご協力をお願いします。
 ↓ ↓ ↓     ↓ ↓ ↓ 
 人気ブログランキングへ
 ↓ ↓ ↓   
にほんブログ村 病気ブログ 医療情報へ
にほんブログ村
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。